森の精たちの由来、とりとめもなく……

  • 投稿者:Sigeru
  • 2008年4月9日(水)1時45分
森の精たち

バッコスの酒宴。ヨシ兄の幻想譚、チンギスハーン、イーグルの詩、ノマドの宴。

蠅の王、父親殺しの物語。

何も考えたくなかった。ただ鳴き交う蝉の音に呼吸を合わせ、体の中をがらんどうにしようと思った。つるはしをふるった。土は柔らかかった。力を入れて起こすと土は裂けた。また秋幸の腕はつるはしを持ちあげ、呼吸をつめて腹に力が入る。土に打ちつける。蝉の声が幾つにも重なり、それが耳の間から秋幸の体の中に入り込む。呼吸の音が蝉の波打つ声に重なる。つるはしをふるう体は先ほどとは嘘のように軽くなった。筋肉が素直に動いた。それは秋幸が十九で土方仕事についてからいつも感じることなのだった。秋幸はいま一本の草となんら変わらない。風景に染まり、蝉の声、草の葉ずれの音楽を、丁度なかが空洞になった草の茎のような体の中に入れた秋幸を秋幸自身が見れないだけだった。

中上健次「枯木灘」より

シーサー、技とも、美とも無縁の、生命そのものとしての、モノ。沖縄という名の血。

黄泉の国の哄笑、死者の輪舞、裸の生、生成の時。

童子の腹赤く輝く

五、六、七、美しき河水のそばに

おう赤き童子の群れよ

太陽の祖先の如き赤さもて

村山槐多 「童子群浴」より

血染めのラッパを吹き鳴らせ

耽美の風は濃く薄く

われらが胸にせまるなり

五月末日日は赤く

焦げてめぐれりなつかしく

ああされば

血染めのラッパを吹き鳴らせ

われらは武装を終へたれば。

村山槐多「四月短章」より

われ切に豪奢を思ふ

青梅のにほひの如く

感せまる園の日頃に

酒精なむる豪奢を。

村山槐多「青色廃園」より

H邸の森の精と地蔵
I邸の耳長

H邸と、I邸の森の精…….

四月の陽を受け、開放された歓びに輝いています。これから、深くなる緑に、森の趣が濃くなってゆきます。