大阪梅田に、風花、ユウタと三人で森山大道の写真展「凶区」を見に行く。
森山大道の写真は、街を臭覚によって切り取る。それだけだと、街に潜む猥雑な野生を映し出すという類の写真になってしまうが、そんな限定されたものにならないのは、臭覚を写真の印画の白と黒、そして焼きこまれることから立ち顕われる光に転移してしまうからだ。
何を撮っているかという、既存の意味による分類(それを、体制といってもいい)をとっぱらい、写真そのものの肌理、質感によってコミュニケートしてくるものがある。
会場となったHEP FIVEが写った大阪の街、神戸を俯瞰した画面にも、港や空港、ハイウエイ、ガードや路地、ごった返す路面、一面の向日葵畑。どれにも、私の肉体にさざ波を起こす光が、白黒のコントラストの中から広がってきた。印象に残る写真というものもあるが、見たということの全体が、今も私の何かをざわつかせている。
photo(風花)